5者のコラム 「芸者」Vol.45
よくある世間の誤解
原章夫弁護士はよくある「世間の誤解」として3つ挙げています。
1 弁護士は一つの事件にかかりっきりになっているという誤解。ドラマに出てくる弁護士は実にヒマです。芸者弁護士とかいうのもありました。片手間に弁護士もやってますという感じでしょうか。そんなことじゃ食べていけるわけがありません。実際の弁護士は人によりそれぞれですが少なくても数十件、多ければ100件を超える事件をかかえています。
2 弁護士は大学の先輩に頭が上がらないという誤解。同じような誤解に、以前勤務弁護士として働いていた事務所のボスには強く言えないだとか弁護士会の会長には花を持たせるだとかいうのがあります。絶対にありません。弁護士というのは実に独立した実力の世界で、仕事上の上下関係は全くありません。司法試験を通らないと弁護士になれないわけですが、司法試験に大学の名前は全く役に立ちませんし年齢も性別も関係ありません。
3 弁護士は仲間内でなあなあで話しをつけてしまうという誤解。地方の弁護士は弁護士の数が少ないのでお互い顔見知りです。むしろ、そこで浮いてしまっている弁護士は問題です。しかしプライベートで仲が良いからといって、仕事上、手をゆるめることはありませんし当方に不利な事情を相手にバラしてしまったりというようなことなど考えられません。
弁護士は複数の事件を抱えて同時並行的に捌いています。他方、法律実務は純然たる勝負の世界であり、大学も性別も年齢も全く関係がありません。弁護士同士は日常的に仲が良くても個別事件の場では手加減しません。プロ棋士が盤上で命がけで戦うのと同様です。誤解なきように。