やる気の無い生徒と依頼者
大学生になって直ぐの頃、短時間に稼げる学習系バイトに励んでいました。やってみて、つくづく「自分は教師業に向いていない」と思いました。生徒の意欲を引き出す情熱の存在が良き教師の要件なのだとすれば私にかような要件は備わっていませんでした。生徒を叱りつける愛情がなかったし生徒の笑いを取って人気をあげる意思も能力もありませんでした。与えられた科目を与えられた時間内に淡々と教えていただけでした。教師として失格です。年末に私は「のだめカンタービレ」に熱中しました。二ノ宮知子の原作も全巻購入し完読しました。上野樹里と玉木宏の演技が見事な映像作品はもとより、漫画の原作も素晴らしいと思っています。
第7巻に谷岡先生(TVでは西村雅彦が好演)の次の印象的なセリフがあります。「ぼくはね、やる気の無い生徒にやる気を出させるほど・やる気のある教師じゃないんだよ」短いセリフですが、DVDで耳にした時、背中に電気が走るような感じがいたしました。私は依頼者に「やる気」がないと厭になってしまいます。多重債務の依頼者の一部に見受けられるのが委任状を書いたとたんに全くやる気を無くす方です。依頼したことにより自分の問題が無くなってしまったかのように勘違いする人が少なからず存在します。分割払いで受任したのに事後の支払いを全くしなくなってしまう人・破産申立の資料集めに協力しない人・所在不明になってしまう人。そんな依頼者がいると弁護士は本当に厭になります。弁護士は代理人にすぎません。本人がやる気を無くしたら代理人は辞めるほかありません。が、弁護士はいったん受けた事件を簡単に辞めることが出来ません。債権者との間で右往左往させられて弁護士のストレスはたまるばかりです。そんな時 「ぼくはね、やる気の無い依頼者にやる気を出させるほど・やる気のある弁護士じゃないんだよ」 そう言いたい気分になるのです。