5者のコラム 「学者」Vol.150

「社会政策」の退潮

FB友人である土居浩之弁護士(仙台)保坂晃一弁護士(福岡)との対話。
A 奨学金問題・生活保護の問題・労働行政の問題など幅広い分野で「社会政策」の退潮が目立つような印象を私は受けておりますが、先生方はどうですか?
B その通り。というか「社会政策」という学問自体が平成4年の司法試験を最後に「学問の公的分類」から消失したらしいです。
A もともと社会政策という分野は社会主義国家に対抗して資本主義内で社会問題の解消を図る意図で形成されたものです。なので冷戦の終了とともに学問的賞味期限を終えるのは必然だったのでしょうね。かつての社会政策は「労働経済学」と「社会保障論」に解消されています。ただし、その帰結として「スーパー市場原理主義」が蔓延っている感があります。その原理から振るい落された人々が不満の棘を自分よりも弱い他者に向けたり自分自身に向けてしまったりして悲惨な事態に陥っている事例が増えているような印象がありますね(涙)。
C 病気で倒れたときに弁護士会費が免除されなくて「死にたい」と思いました。
A 私も理不尽と思っていました。会則の改正が必要ですよ。病気に関しては本人に帰責性がないんですから。免除規定がある女性弁護士の出産との対比でも思います。弁護士会内の連帯性もずいぶん切り裂かれているなあと私は感じます。
C 弁護士の自殺も多いと言いますね。足元も見ないで弁護士会が「自死対策」なんて活動してるのが偽善にしか思えません。
B 弁護士自身の「自死・自滅の対策」が必要なのかもしれませんね。
A そう思います。弁護士業って自死・自滅のリスクが結構高いんですよね。

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