5者のコラム 「医者」Vol.106

自殺企図者に対応する

 生越照幸「自殺問題と法的支援」(日本評論社)は自殺に追い込まれる心理を次のように説明しています。①絶望的なまでの孤立感、②生きている意味がない感覚、③極度の怒り、④苦しみが永遠に続く確信、⑤心理的な視野狭窄、⑥不気味な諦め、⑦全能の幻想。治療者が対応する場合の原則はTALK。Tell(あなたを心配していることを言葉にして伝える)Ask(はっきり言葉にして自殺を考えているのか質問する)Listen(絶望的な気持ちに耳を傾ける)Keepsafe(1人にしないで安全を確保する)。 治療者に臨まれる態度は①治療的楽観主義に立つ②陰性の逆転移に注意を払う③絆を太く複数にする。以下は福岡の世良洋子弁護士とのFB上における議論です。S:陰性の逆転移の怖さは弁護士会研修で意識して度々伝えなければならない重要事項です。対応策は色々ありますが、支援者1人で抱え込まない・支援者が連携する(複数受任、医療機関・行政・NPO等と一緒に支援)ことが重要と理解しています。H:おっしゃるとおりです。1人で抱え込むと自分が危ないですよね。S:はい。Askについて精神科医から伺った聞き取り手法として「自殺したいという気持ちは一番強かった時と比べて何%ですか」という尋ね方を知りました。切迫した危険を測る手法として感心したことがあります。驚くほど誠実に答えてくれます。H:なるほど。数量化することで本人も客観的に考えることが出来るし治療者にとっても判りやすくなりますね。S:そうなんです。「50%くらいです。1週間に1回くらいの頻度で、今は大丈夫です。」等と答えることができます。「100%です。」と言われたときには病院へ入院してもらうしかありませんね。

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