5者のコラム 「芸者」Vol.135

自分の相談対応を他人に見て貰うこと

 鈴木雅人「対人援助職のためのコミュニケーションスキル『相談力』入門」(中央法規)。

基本的に相談は相談者の個人的悩みや問題を扱うことから閉ざされた空間で行うことが多いです。それは相談者のプライバシーを守るため。自分の知り合いが来るかもしれないオープンスペースで悩みを打ち明けようとする気持ちにはなれませんからね。ですので私たちがしている相談は公開されることはほとんどありません。ということは自分の相談を他の人にみてもらう機会が無いということですし、他の人の相談を見る機会が無いということでもあります。これは相談の専門職としてはあまり良くないことです。

上記問題性は弁護士の場合さらに高いものです。ゆえに弁護士はこの弊害を防ぐ手立てを積極的に考えていくべきだということになります。まず「自分の相談を他の人にみてもらう機会がないこと」について。筑後部会は新人弁護士がベテランの法律相談を複数回見聞することを義務づけています。私は可能な限りこれを引き受け新人弁護士に自分の法律相談の特徴等を指摘してもらいます。同業者の意見は貴重です。事務所においても機会があれば事務職員に意見を求めることがあります。とても参考になります。次に「他の人の相談を見る機会が無いこと」について。他の弁護士と共同受任するとその方の相談への対応が見え勉強になります。同業者でなくとも医師・教師・宗教者・カウンセラーなど対人援助職としてのコミュニケーションを磨かれている方々と接することによって職業的な相談対応力を学ぶことも出来ます。法律問題でなくとも「悩んでいる方の相談に乗り解決に向けて努力する」という点で、これらの専門職の方には共通性が認められます。そこで得られる実践的技術は弁護士の法律相談力を上げるためにも有効であると考えます。