5者のコラム 「芸者」Vol.134

経済原理と司法需給

 白浜徹朗弁護士はこう述べています。

過疎地に育った者の感覚として過疎地に人がいなくなるのは経済活動の低迷、その時代の平均的要求に見合った収入を得られる仕事が確保できないことに主因があると思っている。過疎地に弁護士を赴任させようとした場合、経済的に安定するだけの仕事があるかどうかが決定的に重要ということになる。ところがゼロワン地域の解消が進んだ頃は人口過疎地でも過払バブルがあって、ひまわり公設事務所でも経営は安定していたものの、過払バブルがはじけた後は人口過疎地での弁護士の仕事の確保はかなり厳しくなっているように私は理解している。そうなると、あえて過疎地に赴任しようとする弁護士が減っていくのは自然ということになる。弁護士急増政策は市場調査なしに実施されたために弁護士1人当たりの仕事や収入を大きく減らす結果をもたらしてしまったが、そのことは仕事があるかどうかもよく判らない過疎地への赴任者を減らす結果につながったのではないかと私は推測している。

福岡県南の田舎町出身者として上記記述に賛同します。過疎地の経済活動が低迷するのは理の当然であって、その理を弁護士業務も免れるわけではないという単純な理屈です。私が修習生の頃は「過疎地でない地方都市」でも弁護士数が少なく、そのためか新人弁護士に対しても多くの法律需要がありました。それは「弁護士の大都市偏在が極端に進行していたがための短期的な現象」であったようです。かかる現象が「過払いバブルによる一過的需要によって水増しされていたこと」が判明すると「過疎地に法律需要があるような幻想」は砕け散りました。司法需要だって地域の経済的属性を超えて存在することはあり得ません。需要が増えないにもかかわらず供給だけ増えてしまったら弁護士1人当たり仕事量や収入を大きく減らす結果になるのは経済原理による当然の帰結ですね。

前の記事

先の大戦の描き方