5者のコラム 「易者」Vol.84

紹介する責任・紹介してくれた御礼

 松村栄子さんはこう述べておられます(「ひよっこ茶人、茶会へまいる。」朝日文庫)。

誰かを誰かに紹介するという行為には責任が伴うものなのだ。お仲人さんのようなものだ。あそこにこういう先生がいると教えてくれるだけでは済まされない。両者を引き合わせ、ふたりの間を取り持ってくれる。わたしに先生を紹介することに、この際、問題はない。たくさんの弟子を育ててきた実績ある先生方だ。問題なのはそういう立派な先生に私を紹介することのほうだ。もせっかく紹介したのにわたしが迷惑ばかりかける人間だったら?すぐに喧嘩して辞めてしまったら?紹介してくれた人は先生に対して申し訳なく思うだろう。先生のほうも見ず知らずの人間をひとり預かるについては紹介者を信用するほかないので何か問題が起きれば紹介してくれた人は信用を落としてしまう。それだけのリスクを負うということだ。良く知りもしない人間を紹介など出来るはずもない。(46頁)

私は自分が対処できない相談や遠方の事件の相談を受けた場合は尊敬できる他の弁護士さんを紹介しています。しかし誰かを誰かに紹介するという行為には責任が伴なうものです。ですから尊敬する先生にご迷惑をかけないように「問題がない人だ」との一応の確信を持ってから紹介の連絡をするようにしています。紹介した事件が解決し相談者や紹介先の先生から「円満に終了した」旨の挨拶を受けると我がことのように嬉しくなります。問題は立派な先生から私が紹介を受けた場合です。紹介されたのに私が然るべき対応を出来なかったら紹介してくれた先生は相談者に対し申し訳なく思うでしょう。駄目だったときは紹介した先生が信用を落とします。それだけのリスクを負うということです。私は紹介された事件が円満に終了した場合には紹介者の先生に対して結果報告と御礼の連絡をしています。この仕事を続けていくために不可欠の所作だと思っています。