5者のコラム 「役者」Vol.143

紛争を時間的に考える(生成・発展・消滅)

 2017年7月28日久留米シティプラザ「久留米座」で演劇「ベターハーフ」を観劇しました(作・鴻上尚史)。 この「ごあいさつ」で鴻上さんはこう述べます。

昔から恋愛を時間の視点でみていただろうかと思えば、そうではなかったような気がします。「恋愛する現在」だけに集中していたような気がします。永遠に続くとは思っていなくても終わることに対しては無意識だったと思います。いったい何時から恋愛と時間を同時に考えるようになったのか。恋愛の反対語があるとしたら時間かもしれない。終わりがないから僕も40年恋愛を書き続けています。恋愛は恋愛問題でありながら、人間関係の問題であったり、コミュニケーションの問題だったり、人生の問題だったり、美意識の問題だったり、生き方の問題だったりするのです。だからこそ、やっかいで・楽しくて・つらくて・大切なんだろうと思います。

 弁護士になった頃、法的紛争を「時間の視点」でみていたか?そうではありませんでした。「目の前の法律問題に対峙する現在」だけに終始していました。紛争が「永遠に続く」とまでは思っていなくても「それが終わる」ことに対する意識が足りませんでした。何時から法的紛争を時間的に考えるようになったのか判りません。でも25年以上この仕事を続けてみて紛争の生成・発展・消滅が多少判ってきました。紛争は人間関係の問題だったり・コミュニケーションの問題だったり・人生問題だったり・美意識の問題だったり生き方の問題だったりします。当事者にとって、やっかいで・つらくて・大切な問題です。弁護士の成熟とは紛争を時間とともに考察できるようになることです。この歳になり私も事件の受任・遂行・終了を意識して当事者と接するようになりました。あと3年程で私の弁護士稼業は約30年になります。おそらく「それが終わる」のはもう少し先ですね。