5者のコラム 「学者」Vol.105

第三者委員会の判断の当否

 47NEWS編集部佐々木央氏は将棋界を激震させた三浦九段に対するソフト指し疑惑事件を巡る将棋連盟第三者委員会の判断に関しこう述べます。「第三者委は処分の妥当性の判断基準として①処分の必要性の有無・程度②緊急性③内容の相当性④処分される棋士個人の利益に対する制約の程度⑤制約の許容性⑥棋士の帰責性-などを列挙する。そして①②はまとめて「高い必要性緊急性があった」とする。その論拠として説得的とは思えない四つの事情を上げるが本稿では立ち入らない。③についても「(出場停止の)期間および内容ともに相当な判断であった」と肯定した。これにも根本的な疑問があるが、ここでは触れない。不思議なことに、それに続くのは「その他の事情」である。第三者委自身の示した基準に従えば本来④出場停止による三浦九段の不利益はどれほどのものだったのか⑤そのような処分が許されるのか⑥三浦九段にどういう落ち度があったのかという点を突っ込んで検討することになるはずだが、そうはなっていない。「その他の事情」では三浦九段の逸失利益の大きさを述べる一方、出場停止が解ければまた出られるのであり「棋士としての地位を奪うほど重いものとまではいえない」と処分の軽さを言いつのる。更に他の棋士に不信感を抱かせた三浦九段にも「反省すべき点がないわけではない」とまで書き込む。(略)法的に連盟側が処分を決める過程でデュープロセスを欠いていたことも第三者委として指摘すべきだった。無罪の可能性が高いと分かった時点で(確定した時点ではない)人権を何より大切にすべき法律家であってみれば人権救済のために直ちにその事実を公表し連盟に処分の解除を求めるべきだった。」
 正当な指摘です。連盟は三浦棋士に謝罪するとともに経済的補償をすべきです。規範と適用の正確な対応関係が担保されていないような判断は法律家の判断とはいえません。第三者委員会は法律家として処分無効とすべきだったと考えます。

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