5者のコラム 「医者」Vol.56

社会生活上の医師?

 小林正啓弁護士はブログでこう述べています。

「法の支配を社会のすみずみに」と恥ずかしげもなく言える弁護士はさすがに減ってきたようだが「弁護士は社会生活上の医師」と言う弁護士は未だに多い。司法修習生への貸与制実施に反対する5月21日の日弁連総会決議にも、この言葉が2回も出てくる。だが恥ずかしさでは「社会生活上の医師」の方が上だ。(略)医師の仕事を一言で言えば人の命を救うことであり、これはかなり絶対的な善である。(略)これに対して弁護士の仕事を一言で言えば依頼人の利益を実現することであり、これはとても相対的な善である。つまり敵からみれば悪ということだ。それどころか第三者や一般国民からも悪者呼ばわりされ得る。強姦被害者を救済するため犯人を告発することも弁護士の仕事なら、和姦でなかったかと被害者を攻撃することも弁護士の仕事だ。だから仕事を全うした弁護士は少なくとも相手からは怖れられ・憎まれ・あるいは軽蔑される。(略)要は弁護士の仕事と医師の仕事は違うと言っているだけである。社会生活上の医師でないなら何にたとえるのか?と聞かれたら、私は多少の迷いを留保しつつ、こう答えたい。「弁護士は社会生活上の傭兵である」。傭兵と言ったって、そんなに悪い話ではないだろう。私が最もあこがれる映画は「七人の侍」である。

 司法制度改革審議会が「弁護士は社会生活上の医師」という言葉を使用して以降「錦の御旗」として業界に君臨してきました。しかしコピーから実践的結論を導き出すのは危険です。このコラムも弁護士を「医者」に擬えていますが読者の共感を乞うレトリックに過ぎないことを自覚しています。実践的文脈で「弁護士は社会生活上の医師」という言葉を乱用するのは止めましょう。

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