5者のコラム 「役者」Vol.7

法廷における演出の仕方

 「二弁フロンティア2004別冊」は「弁護士と裁判所の適切な協働関係の形成を目指して」なる特集を組みアンケートを実施。裁判官は次の弁護士の想像に対し酷い拒否姿勢を示します。
1 準備書面の分量は多い方がよい?(裁判官は合理性に貫かれた簡にして要を得た準備書面を好んでいます。長大な準備書面は読む気を無くす・依頼者向けに厚い準備書面を書くのは迷惑だ・読む側の立場になってほしい・無意味に冗長な書面は弁護士の能力を疑うという声すらあります)
2 裁判所は人証調べまでは心証を取らない?(裁判官は概ね争点整理段階で心証を取っています。人証調べは書証等により既に形成した仮説的心証の検証作業に過ぎないと断言する方が多いようです。儀式的に行われる人証調べを「ガス抜き」と「結論の確認」と言い切る方もいます)
3 反対尋問こそ弁護士の腕の見せ所?(裁判官は概ねかかる位置づけには批判的です。「反対尋問で証人が崩れた場面に遭遇したことは無い」「人格攻撃は聞いていて不愉快なだけである」と言い切る方もいます。主尋問を固めてしまうだけの稚拙な反対尋問も少なくないようです) 
 弁護士が依頼者を意識して行う過剰な主張立証活動に対し裁判官は冷淡な見方をしています。訴訟が究極的には依頼者の求める結果を目指しての合目的的な営為である以上、目的と手段の取り違いは依頼者の利益を損ないます。素人向けの派手なパフォーマンスは玄人である裁判官からは嫌われます。弁護士に求められているのは玄人受けする「いぶし銀」の演技だと感じています。

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