5者のコラム 「学者」Vol.83

情報リテラシーの二極化

 内田樹先生の記述。

大きな流れとして携帯やネットを利用する人たちの間で情報リテラシーの二極化が急速に進行していると思います。(中略)その階層化は情報量の差によってではなく目の前の情報のクオリティを判定できる能力の差によって形づくられています。自分が知らないことについての情報の真偽を判定するということは原理的にできません。でもその情報をもたらすソースの信頼性や情報が差し出されるマナーの適否情報が流れてくる文脈については判定できる。「情報についての情報」をどれだけ持っているかによって情報社会の強者と弱者は差別化されます。「情報についての情報」メタ情報とは言い換えると、自分自身の「知のありよう」についてのマップを持っているということです。自分は何を知っていて、何を知らないのかについて俯瞰的に見ることができるということです。図書館の案内図と同じです。どこの書架に行けばどの情報を得られるかを知っている人は、自分が今持たない情報についても必要なときにアクセスできる。それは「潜在的にはすでに知っている」ということに等しい。情報格差を形成するのは「今所有している情報」の多寡ではなく「潜在的に所有している情報=いつでもアクセス可能な情報」の多寡です。情報弱者というのは自分が知っていることが知の布置全体のうちのどこに位置づけられるのかを言えない。

 弁護士業界においても情報リテラシーの二極化が進むでしょう。法律情報の拡散に伴って自身の「知のありよう」についてのマップを持っているか否かが重要なメルクマールになるでしょう。その帰結として弁護士も「一部について全部を知っている」他者の知を「全部について」備えておくことの意義が大きくなっていくのでしょう。

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