5者のコラム 「医者」Vol.68

強制の図式

 富田伸先生はJ・ハーマンが来日したときに講演を聴きに行かれたそうです。この講演でハーマンが強調したのは政治的拷問の方法をまとめた「強制の図式」です。
1 暴力または威嚇を与える。大切なことは相手に恐怖心を植え付けることである。 
2 身体とその機能とを支配する。子ども同士のいじめではこれが観られることは少ないかもしれない。「オウム真理教」は明らかにこれを利用していたと思う。
3 細かなルールを気紛れに押し付ける。気紛れであれば、従うことも従わないことも困難になってくる。相手に規則性が見いだされば対処のしようがあろうというもの。しかし、そうはいかない。
4 些細な報酬を気紛れに与える。報酬は罰以上に人を支配する重要な手口である。
5 孤立化させる。1~4だけではまだ不十分。より力を持った人物が登場しては困るからである。さまざまな孤立化作戦が工夫されることになる。
6 倫理的な原則を犯させる。万引きを強要するとか宿題を忘れさせるとか。
7 残虐行為への参加を強要する。例えば他の子へのいじめ行為に荷担させたりというのはよくあること。こうやって被害者もまた加害者との共犯性を帯びてきてしまうというわけだ。
 これらは弱者の無意識に刷り込まれていることがあります。積極的に事実を語らないこともあり得るのです。被害者側代理人となる弁護士は上記1~7の要素を意識しつつ応対する必要があります。

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