5者のコラム 「医者」Vol.53

弁護士としての「誓い」

 私の能力と判断力の限りを尽くして、この誓いと約定を守ります。
 法的な知識と技術を私に授けてくれた人を深く敬い、これから法的技術を学ぼうとする人を私の兄弟同様にみなします。彼らがこの術を学びたいと求めるなら報酬も契約書も取らずにこれを教えます。かれらが真摯に学ぶ意思を示すなら、いかなる助力も惜しみません。
 私の能力と判断力の限りを尽くして業務に努めます。依頼者の福祉と社会の正義のためだけに業務を行い加害と不正のためには業務を行わないように慎みます。派手な仕事はこれを業とする人たちに任せます。私は自分の身の丈にあった地味な業務を誠実に行います。
 違法行為は誰に頼まれても決して行いません。そのような助言も行いません。依頼者の金銭には決して手をつけません。そのように疑われるような行為も決して行いません。華美な生活を戒めます。収入の一部を常に自分の見識を高めるために用い、享楽のために使い果たすようなことは決していたしません。男女を問わず、貴賤を問わず、依頼者と不適切な関係を結ぶことは決していたしません。
 業務の際に見聞したことは決して他言しません。
裁判所からも依頼者からも相手方からも信頼されるように最善の努力を続けます。
 もし、私が上記誓いを固く守って破ることがありませんでしたら、永久に全ての人々から良い評判を博して生涯と術を楽しむことをお許し下さい。もし、これを破り、誓いに背くようなことがありましたならば、これとは逆の報いをしてください。
(ヒポクラテス『誓い』(「古い医術について」岩波文庫191頁)参照)

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