5者のコラム 「5者」Vol.40

少年鑑別所における少年との対話

 君は宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」を観たことがあるんだね。じゃあ少しあの映画の話をしようか?千尋は、お父さんやお母さんと一緒に不思議な世界に行くんだよね。 でも両親は豚にされてしまい千尋は湯婆婆から名前を奪われて湯屋で働くんだったね。カオナシの事件が起こりそれが収まった後で千尋は湯婆婆の双子のお姉さんのところに謝りに行き元の世界に戻るというお話だったね。僕は、あの映画で宮崎監督は子供が立ち直るためのヒントを5つ示してくれていると思うんだよ。今から1つずつ考えてみようね。まず自分の名前を忘れないこと。名前は親が最初に与えてくれる大事なプレゼントだよ。大切にしなくちゃいけないね。それは子供に対する親の思いを理解するということなんだね。次に働くこと。千尋は「働かない奴は湯婆婆から動物にされてしまう」と言われて、蜘蛛みたいな姿をした釜爺のところに頼みに行くんだったね。「働かざる者食うべからず」なんだよ。3番めに欲望に克つこと。カオナシは砂金を取り出すことが出来たから誰もが上客として取り入った。でも千尋が毅然とした態度をとったから正体を現したよね。4番目に迷惑をかけた相手に対して謝罪すること。千尋は、自分は何も悪いことをしていないけれど、好きなハクのために謝りにいくんだよね。君の場合は自分が他の人に迷惑をかけたんだから被害者に対して「申し訳ありませんでした」という気持ちを持たないといけないね。最後に親を助けること。豚にされた両親を人間の姿に戻すために、千尋は湯婆婆と勝負をして勝つんだったね。君はこれまで両親から助けられてきたんだけど、大人になるということは自分が親のために何をしてあげられるかを考えることなんだよね。
 今、君は少年鑑別所という不思議な世界にいるんだけど、宮崎監督が教える5つのヒントを頭に入れたら、元の世界に戻れると僕は信じている。そのときに君はここに来た時とはまるで違う立派な人間に生まれ変わっていると僕は思うよ。

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