少ない分類・関係妄想・両義的コトバ
佐藤六龍氏は「『占い』は信じるな」(講談社+α新書)でこう述べます(27頁以下)。
1 当たっているように見える占いは分類が大雑把なものに多いのです。単純でわかりやすくできているために人気も高いものです。その一番は人を四タイプに分類する血液型判断、そして九つの星で見る九星気学、西洋占星術と続くのでしょうか。
2 心理学用語に「関係妄想」というものがあります。これは何の関係もない事柄を自分に関係があると思いこんで結びつけてしまう心のはたらきをいいます。関係妄想は、占い師に占ってもらう人にも煩雑に見られるものです。
3 占いの言葉でよく引き合いに出される言葉に「お母さんは死んでいませんね」というのがあります。(略)お母さんは生きている(死んではいない)のか死んでいる(死んでもういない)のか両方に取ることが出来ますね。(略)この先制攻撃で、当たっていると思わせたらしめたもの、あとは依頼人の関係妄想を引き出していけばよいのです。
弁護士の反対尋問技術には占い師の問答技術に通じるところがあります。
1 反対尋問巧者は敵性証人にイエスと言わせるのが上手。イエスと言わせるため最初は大雑把な判りやすい質問を並べます。裁判官は反対尋問で証人が肯定した事項を真実と感じますからイエスと言わせる流れを作っていくことが大切です。
2 反対尋問巧者は証人に自分に関係があると思わせる質問を盛り込むのが上手。敵性証人への質問が抽象化することは裁判官もある程度許容します。証人は質問を自分の体験に引き寄せて回答します。その回答をもとに具体的質問を繰り出します。
3 反対尋問巧者は回答が肯定でも・否定でも、回答を元に自分の尋問事項を繋げていくことが巧み。いずれの答えでも「待ってました」と次の質問を繋げてゆきます。