5者のコラム 「5者」Vol.84

大人の寛容性を子どもに示す

 小学生の頃、新聞配達をしているとき誤って道路脇の小川に落ちてしまいました。たくさんの新聞が流されてゆくのを唖然と見つめました。泣きながら配送所に戻ったのですが所長さんは1言も怒らず、ずぶ濡れになった私を気遣ってくれました。大学生の頃、国分寺市の喫茶店でアルバイトをしました。あるとき盆の上で冷水の入ったグラスを倒してしまい、客(男性)の頭の上から水をかけてしまいました。酷く怒られるのが当然ですが、お客さんは怒らずに「あなたはこの仕事をして間がないみたいだから、これからは気をつけてね」と話してくれたのです。涙が溢れました。数十年が過ぎ、私は大人として子供と接する年代になりました。お店の従業員が自分より若い人であることが普通です。そういう若い従業員が多少ミスをしても私は怒りません。怒りの感情が生じないのです。島津良智氏は「怒らない技術」(フォレスト出版)で述べます。

世の中で最もシンプルな成功法則は「命と時間」を大切にすることです。不機嫌・イライラ・怒りといったマイナス感情が私たちの人生をどれだけつまらないものにしているか、お判りになったと思います。自分の感情を自分でコントロールできれば人生は変わるのです。

この本は自分をコントロールする技術として「怒っても結果は同じ」「受け取り方を変える」「価値観の違いを受け入れる」等の処方箋を授けています。私は(比較的)怒らないタイプの人間だと思いますが、自分の意志でコントロールされたものではありません。上述した子供時代の記憶に規定されたものです。失敗をした少年に自省が見受けられない場合には怒るのが当然です。しかし少年が自省している場合は怒りで追い討ちをかけないほうが良い結果が出ます。自省している少年には大人の寛容性を示すほうが子供に長く長く感銘を与える。私はそう信じています。 

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