5者のコラム 「易者」Vol.2

占いと法律相談

 鈴木淳史「占いの力」(洋泉社新書)は占いの本質として次の点をあげています。
  ① 占いは行き詰まった人間へのアドバイス機能がある。
  ② 占いは不安な状況に対して自信をつけさせる。
  ③ 占いは自分がどういう存在であるかを指し示す。
  ④ 占いは世界の全体像についてなんらかの説明を行う。
  ⑤ 占いは人間を分類する。 ⑥ 占いは人生を物語化する。
 人間が生きていく上でかかる規範を担う職業的存在は必要不可欠。人間は「世界とはどういうものか?」 「自分は何者か?」 「何故生きているのか?」 「何故自分は不幸にあうのか?」といった根本的な疑問から逃れられないのです。こういった<実存的危機>に際した者がすがるものとして占いはあります。宗教は占いの基礎たる土俵として存在している面もあるのですね。
 法律相談においてカウンセリング的手法を取り入れることの意義は近時しばしば業界で議論されているものですが、私は実力のある占い師からも大いに学ぶべきものがあると感じています(オカルトに走ってはいけませんが)。学者的傾向の強い弁護士はどうしても「要件事実の有無」という準客観的な見地から法律相談を行いがちです。しかし、初めて弁護士に相談する市民の方々は法律相談において速効的なアドバイスを求めています。不安な状況に対する自信をつけること・自分がどういう存在であるか指摘してもらうこと・全体像についての説明を求めています。弁護士はこれらの問いに対して事案を適切に分類した上で解決に向けた何らかの「物語」を提示すべきです。相談者の目線と弁護士の目線は全く異なっていることを認識しなければなりません。