5者のコラム 「芸者」Vol.105

ブランドイメージ破壊と価格政策

 黒猫氏はブログ「黒猫のつぶやき」でこう述べておられます。
 司法改革以前の弁護士は、いわゆる「高級ブランド」の職業でした。(略)ところが、司法改革により弁護士業界はこうしたブランドイメージを自らぶち壊しました。弁護士の激増による競争激化で、弁護士費用の相場はもはや採算が取れないレベルにまで低下し、低価格戦略により顧客にサプライズを与えることはもはや不可能になっています。(略)今の政府や日弁連にはこの状況を改善する意思自体が全く無いようですが、仮に方針を転換し適正な弁護士費用を取れるようにする(弁護士費用の相場を高くする)政策が実行されたとします。考えなければいけないのは、そのとき、弁護士業界にも「マックやユニクロと同じ現象が発生するのではないか」ということです。つまり弁護士費用適正化の観点から最低価格設定など弁護士費用の値上げ政策が将来取られたとしても、既に「弁護士は安くて当たり前」という消費者心理が定着していれば弁護士費用が少し上がっただけで「弁護士のくせにこんなに取るのか」と顧客を怒らせてしまい顧客の足が一気に遠のくという事態になる可能性があります。そもそも弁護士が提供するサービス自体、社会に必要不可欠だと考えているのは当の弁護士だけであり、顧客としては弁護士があまり役に立たないのであれば紛争があっても話し合いや泣き寝入りで解決する、あるいは司法書士や他士業、法的には無資格の各種コンサルタント、暴力団など他の「専門家」に相談・依頼する、といった選択をするだけのことです。
 私も法律事務所をブティックからスーパーマーケットに喩えたことがあります。スーパーマーケットに慣れた客がブティックに戻ることはないでしょう。時代の流れなので仕方がありません。私はけっこう楽観的に品質を重視する依頼者が残るはずだと考えています。

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