5者のコラム 「易者」Vol.36

バーナム効果の意義

 鈴木淳史「占いの力」(洋泉社新書y)に以下の記述があります。
 

心理学の用語でいうと、これは「バーナム効果」ということになろうか。誰にでも当てはまると思われる記述を「これこそがあなたの結果です」といって示されると、多くの人がそれを単純に受け入れてしまうという効果のことだ。(中略)このバーナム効果の実験によると、被験者は「これって一般的な人の性格らしいけど」と記されたサンプルを自分のこととして受け取りにくい傾向があったという。つまり、多くの人には「俺ってみんなとはちょっと違う人」という意識があるというのだ。そして「あなたを占ったら、こんなん出ましたけど」と言って渡した結果に対しては、どんなものでも「おー、それ、俺のことだ」とわりに簡単に受け入れてしまう。これから判るのはあくまで自分という人間を1人の個性として認めてもらいたい、ってことだ。どうせ俺は会社の歯車ですよとか、あたしはみんなと同じように生きていくのがいいなどと口では言っていながらも、そんな自分のささやかな個性を誰かに判って欲しいという願望があるのだ。(106頁)

 誰にでも当てはまる法理を平等に適用するのが法律実務の基本。交通事故賠償に関して言えば裁判所の取り扱いの基準は「青い本」や「赤い本」(交通事故実務のマニュアル本)で概ね定式化されています。が依頼者には「自分を1人の個性として認めてもらいたい」「この事件の特殊性を判って欲しい」という願望があるはずです。私は理論的可能性がある限り、かような個々の依頼者に即した事実や評価がシャープに裁判所に伝わるような書面を作成したいと考えています。可能な限り被害者の痛みや悔しさを訴えることが出来るような若干の理論的な工夫をしてマニュアルより一歩踏み込んだ書面を作ろうと考えています。本人の生活実態にあわせて労働能力喪失率をマニュアル本よりも多めに設定したり、慰謝料の増額事由として事案の特殊事情を盛り込んだりしています。

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