5者のコラム 「医者」Vol.17

アメリカと対比した日本の医療制度の長所

 医師会が主催した上映会で映画「シッコ(Sicko)」(マイケル・ムーア監督)を拝見。アメリカ医療界の問題点を赤裸々に描いたものです。日本におけるキャッチコピーは「テロより怖い医療問題」です。例えば①事故で指を2本切断された男性が医療保険証をもっていない。そのため医師は手術前に「1本で*万ドル・2本で*万ドル。どっちが良い?」と聞く。②病気になった老父婦が医療費を支払えない。ゆえに家を売却させられる。③医療保険を失えば死に直結する。保険料を払い続けるために働く高齢者たち。④重病に対して良い医療手段がある。にもかかわらず保険会社が「イエス」と言わないがために良い医療を受けることが出来ない人たち。⑤保険会社の利益のため保険適応を否認する意見書を書き続ける医師の存在。⑥公的医療保険を「社会主義への道」として非難し続ける政治家。⑦現在の医療体制を維持するための巨大保険会社から有力政治家への巨額の献金。アメリカ医療がいかに病んでいるのかが良く判りました。
 日本の医療制度にもいろいろと問題はあります。ありますけれども、日本の医療制度は相対的には決して「悪くない」と私は感じています。とびぬけて良いものでもないけれど、とびぬけて悪いものでもない。日本人の感性にあった優れた医療制度ではないかと私は思っています。 ごく一部の金持ちだけが最先端の高額医療を受け、貧乏人は(本当は助かるのに)医療を受けることができずに命を落とす。このようなアメリカは(一部の金持ち以外にとっては)少なくとも医療に関しては決して幸福な社会ではありません。しかし、日本を実質的に動かしている方々は、日本の医療制度をアメリカ化したくてうずうずしているようです。