法律コラム Vol.136

カスハラへの対応

筑後部会は商工会議所との定期的勉強会の機会を持っています。昨年の勉強会(カスタマ―ハラスメント)後の懇親会で(最年長者として)挨拶を求められました(若干補正)。

私はカスタマーハラスメント(通称カスハラ)事件も複数回やってまいりました。その中で自分なりに形成してきた「経験則」があります。それは「カスハラにはチームで対応する」ということです。カスハラは多くの場合に末端現場従業員への攻撃から始まります。その要求がエスカレートして「社長を出せ」となり「誠意を見せろ」という良くある文言になります。対応の大原則は「現場従業員を孤立させないこと(現場従業員への安全配慮義務を尽くさないと企業の責任が生じ得る)」と「トップを表に出さないこと(トップの安易な意見表明は法的責任を認められやすい)」です。対応の主力は総務部長・人事部長・施設長など中間の方々です。サッカーに例えるならばフォワード(FW)やキーパー(GK)ではなくミッドフィールダー(MF)が主役です。弁護士は主にMFに対しコーチングをします。MFはFWから良く事情を確認しつつGKとの意思疎通を密に図り「チーム全体の意思」を形成します。このようなチーム体制を構築してカスハラに対応します。敵の出方を見定め、持っている武器の内容を想定して、守備を固めます。試合過程はリプレイ検証に堪えるように記録します。ルール違反が見受けられたら躊躇なくジャッジを求めます(被害届など)。それでもゴールされた場合には、それは「ハラスメント」ではなくて「正当なクレーム」であったということなのだと思います。私たちはこのような勉強会や各自の研鑽を通じてコーチングの技量を磨いてまいります。商工会議所の皆様も各チームの団結力を高めていただきたいと思います。最後に、このような弁護士会と商工会議所との良いチーム連携が長く続くよう願っております。

* 何とか無事にお務めを果たすことが出来ました(安堵)。(2024/12/6)

前の記事

先輩講話なる企画