法律コラム Vol.130

監護措置をとらないよう求める意見書

弁護士になって直ぐの時期は少年事件も多くやっていました(当時は弁護士会が配点しており若手弁護士の多くは刑事少年事件を当たり前のように受任しました:現在は司法支援センターという国の機関が配点するようになったので嫌気がさし今はやっていません)。付添人としての仕事の中で少年鑑別所での監護措置をとらないよう家裁に求めたことがあります(平成16年:若干補正)。

        意見の趣旨
 少年につき少年法17条1項2号の監護措置をとらないとの決定を求める。
         意見の理由
第1 身柄拘束継続の不必要性
 1 罪質と捜査経過
 本件は毒物劇物取締法違反事件(シンナー所持)であり事案として軽微である。少年は事実を認め取り調べも終了している。少年に逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれは存在しない。
 2 収容鑑別の不必要性
 少年は両親とともに*市内に居住する普通の子である。出来心で非行を犯したが青春期特有の心の揺れと考えることが出来る。犯罪傾向が特に進んでいるわけではない。収容鑑別が必要なのは家庭環境が劣悪で社会資源の徹底的見直しが必要な事案である。本件はかかる事案ではない。
 3 自傷他害のおそれの不存在
 少年は心身共に健康であり自傷の虞れはない。被害者がないため他害の虞れもない。
 4 出頭の確保
 少年も両親も裁判所の呼出に必ず応じる旨誓約している。身柄拘束が解かれるならば当分は実家に謹慎する。裁判所へ出頭をしない場合の不利益は当職から充分警告している。
第2 収容鑑別の意義と問題点
 少年鑑別所は少年の心身や社会資源を調査するために設けられており収容鑑別による調査が必要な少年(家庭環境が劣悪な少年)にとっては科学的調査を受け裁判所の審判に臨む意義は大きい。が、そうではない少年にとっては不必要なラベリング(烙印)を押される弊害が大きく、かえって少年の更生を阻害する逆機能を発揮することが刑事法学者より繰り返し指摘されている。
第3 結論
 本件には身柄拘束を継続する必要性が存在せず逆に弊害は極めて大きい。よって意見の趣旨記載の決定を求める。仮に判断に迷う要素がある場合には監護措置決定前に当職宛ご連絡いただくよう切にお願いする。裁判所の懸念を払拭するために最大限の努力をする所存である。

*上記意見により監護措置がない状態で(在宅で)審判を受けることが出来ました。

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