法律コラム Vol.41

修習生歓迎会の挨拶

 部会長に就任して最初に行った挨拶は部会修習生歓迎会です。4月2日に柳川の「御花」という料亭(旧柳川藩主・立花氏の別邸)で行われました。

 最初に私から皆さんに質問をします。私は修習生の頃に民裁教官から「修習生は卵か?ひよこか?」という問いをされたことがあります。これを皆さんに考えて頂きたいのです。賛成するほうに手を挙げてみてください。えーと、ひよこ説は少数で、卵説の方のほうが多いようですね。これは比喩(メタファー)なのでどっちでも良いのですが私が修習生の時の教官の答えも卵説でした。その心は何か?修習生は卵の中のヒナに過ぎない固い殻に覆われているということです。周りから暖められて殻を破って外の世界に出なければ1人前になれないということなのです。ところで「そつたく同時」という禅語をご存知でしょうか?鳥のヒナが卵の殻の内側から叩くことを「そつ」(口偏に卒)と言い、親鳥が卵の殻の外側からつつくことを「たく」(啄)と言います。ヒナは卵から生まれ出ようとするときに内側から殻をつついて音を立てます。これに気づいた親鳥が外から卵の殻をつついて殻を破るのです。両者のタイミングが合わないとヒナはこの世に生まれることができません。ヒナ1人の力では固い殻を破って外に出てくることができないのです。修習生はまだ殻に覆われている卵の中のヒナです。修習生が内側から自発的に問いを発しこれを聞いた指導担当弁護士が外側から良いタイミングで答えを返すところにこそ、弁護実務修習の意義があります。修習生の皆さんが自発的に問いを発し、固い殻を破って実務法曹の世界に出てくるのを楽しみにしています。

* この挨拶は福岡県弁護士会月報(平成22年5月号)の「部会だより」において修習委員長である桑原弁護士から御紹介頂きました。
* なお上記挨拶を私は立って話しました(たちばなし)。

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