5者のコラム 「役者」Vol.103

見た映画の短評(4本)

 映画「かぐや姫の物語」を拝見。これほど美しい画面と音楽の残り香がある映画も少ない。竹取物語は日本が世界に誇る物語文学の祖だが、これまで成功した映像作品になったものは無い。高畑監督は絵コンテ風画面にすることで原作の不思議なイメージを表現している。

 映画「フードインク」(アメリカ)を拝見。食品・農作物業界の現状を批判する。モンサント等の巨大食品業界が摂理に反した食品を作り出していることを告発。食品関連の映今年3本目。1本目「世界が食べられなくなる日」(フランス)2本目「天のしずく」(日本)。地産地消が大事。

 映画「まちや紳士録」を拝見。八女市福島地区の古い町並みの再生をテーマにしたドキュメンタリー。朽ち果てようとしている民家が大工の手で見事に蘇っていく過程が感動的。福島原発の影も盛り込まれている。伝統的家屋建築に興味がある人に共感を呼ぶ作品。

 映画「ハンナアーレント」を拝見。実務経験のある法曹なは報道された当事者イメージと実際の当事者の差異を体感したことがあると思う。法曹は法的言語で定型的に語ることで責めを免れられる。しかし事象そのものを追求する哲学者の場合、自らの感性を信じて言葉を紡ぐしかない。それが如何に困難であるかは事後ハンナがユダヤ世間から浴びせられた罵詈雑言が明らかにしている。

芸者

次の記事

法律的「行商」をするか?