独立とは起業である
渡辺仁「起業バカ」(光文社ペーパーバックス)の記述。
ここ数年、不況のせいで中高年起業家が増えている。リストラで会社を追い出され「職がないから起業でもしようか」「歳を食って再就職できないので起業しかない」といった”デモシカ起業家”が多いのだ。会社が倒産したら若者はフリーターで喰いつなげるが、手に職のない40代・50代のオヤジたちは追い詰められ「起業」に走るしかない。政府や政治家もそれをどんどん奨励している。再就職を後押しする国の職業能力開発総合大学校(職業訓練学校)でも「創業サポートセンター」なる起業相談窓口を開設する時代なのだ。だが、このリストラされた中高年起業家が世間知らずで一番だまされやすい。追い込まれた焦りもある。人が良くておとなしい。サラリーマン一筋で世の中を甘く見ている。小金を持っている。子供も独り立ちして自由の身の上だ。こんな中年男を狙った悪徳商法や詐欺師たちがいろいろな形で網を張り、虎の子の開業資金を巻き上げようと虎視眈々と待ち構えているのだ。
起業を志した男性の悲劇を私も取り扱ったことがあります。会社のウチとソトではルールが異なるのに退職後もその違いに気づかない方がいます。確実に収入を得られる会社員生活と異なり、独立事業者の世界はハイリスク・ハイリターン。役所はリターンの魅力を述べるばかりで高いリスクの意味を説明などしません。「成功するのは運と実力に恵まれた極一部の方に限られること」を知らされるのは破綻後であることがほとんどです。独立とは起業に他なりません。独立志向の若手弁護士を狙った悪徳商法や詐欺師が、いろいろな形で網を張り、開業資金を巻き上げようと虎視眈々と待ち構えています。最近では「開業セミナー」など怪しい商売(ヒヨコ食い)が跋扈しています。