5者のコラム 「役者」Vol.132
歌詞によるエッセイのようなもの(その3)
「卒業証書抱いた傘の波にまぎれながら自然に貴方の横並ぶように歩いてたの」 ただのクラスメイト「だから」「なのに」「だけで」という僅かの言葉で甘酸っぱい感情を表現する松本隆の作詞技術が素晴らしい。ピッタリとしたメロデイー。10代の気持ちを感じさせてくれる名曲。「失うとき初めてまぶしかった時を知るの」
「何のために生まれて何をして生きるのか。答えられないなんてそんなのは嫌だ」 子どもはときに根源的な問いをする。「大人になる」とは根源的な問いを封印し飼い慣らしていくことでもある。そういう緩んだ精神に「幼稚園生が歌う哲学の歌」は衝撃だった。その歌っている本人こそ答えの1つであるところが面白いところである。
A「日本の未来は・世界が羨む。」 B「未来は・そんな悪くないよ。」 世界が羨む日本が幻想だと実感されたからこそAは世間人に面はゆい感覚を与えることに成功した。日本の未来は悪くなると世間人が予感したからこそBは「そんなには悪くない」というメッセージを与えることに成功した。音楽プロデユーサーって凄いな。
「君と出遭った奇跡がこの胸にあふれてる」。ある高名な学者が述べた。「人生には2つの道がある。奇跡は存在しないと考える道と全てが奇跡と考える道だ。」どちらが正しいか?私には全く判らないが、どちらが楽しいかと言われれば後者だ。だって普通の絵よりシャガールの絵のほうが楽しいじゃない?夢の心象風景を描いたシャガールの絵の中では人間だって「空も飛べるはず」。