GPSを喪失した船舶とコロナショック
現代の船舶はGPSで位置情報を得ながら航海をしています。大海原でも「今自分はどこにいるのか」を確認することができます。コロナショックに見舞われている今の社会は「突然GPSが使えなくなったときの船舶」に似ています。自分が何処にいるのか判らない・何時になったら陸地に上がれるのかが分からない。大航海時代の帆船そのものです。大海を渡るときは何日も同じ風景が続く。位置座標の認識を間違えれば食料も尽きて死んでしまう。当然、彼らは何も持たずに海に出たわけではない。当時の先端的知識と技術をもとに航海に出ていました。彼らの工夫は不安に見舞われている現代社会を生きる我々に大きな指針を与えてくれるように思います。世界地図の原型は出来ていました。地球の大きさも計算されていました。彼らは緯度と経度を認識して船上で確認しました。緯度は太陽と星が基準となりました。南中する時の太陽高度は緯度を教え、北極星は北の方角を正確に指し示しました。経度は基準となる母港と自船の位置との時間差で割り出します。そのためには正確な時間を示す時計が必要です。時計技術が進むたび位置認識の精度は上がりました。船員は航海日誌を付けていました。単調な毎日では記帳をしないと時間の感覚を失うからではなかったかと思います。食料にも気を使いました。保存食とされたのは塩漬けの肉とビスケットですが、これを続けていると栄養が偏り壊血病などの病気を発症します。柑橘類と野菜の摂取が予防に有効であることが発見されるのはずっと後の時代です。我々も同じ認識を持つ必要があります。正確な位置情報を得る。何が太陽か北極星かを見極める。正確な時間を確認する。日記をつける。健康を維持するため栄養のバランスをとる。インスタント食品ばかりにならないよう食事に気を遣う。