5者のコラム 「5者」Vol.1

「5者」とは何か?

(医者) 弁護士業務の隠喩として多用されるのが医者です。両者は一般市民の生命や財産を直接に左右する存在です。その「責任の重さ」故に「厳格な資格要件」が課され相当の勉強を要求されます。その反面、責任の重さに見合った社会的地位や収入が得られると世間的には思われています。弁護士が「社会生活上の医師」と表現されることも増えてきました。
(学者) 弁護士は「法律の専門家」として法律状態に最新の注意を払っています。隣接する諸科学にも相応の知識は持たなければなりません。勉強を怠れば直ぐに置いて行かれます。社会通念に反する説を支持する場合は非難を浴びることも覚悟しなければなりませんし経済的にもペイしません。しかし、職務上あえて「少数説」に立たねばならないこともあります。
(役者) 仕事の中で自分が「ある役割を演じていること」を自覚する場面は必ず生じます。良い弁護士ほど自分に与えられた役割を理解し場面に自然にとけ込んでいます。しかも自ら脚本を書き・演出を考えて・舞台に出るというマルチタレントな役者です。法廷を「舞台」と感じる弁護士は少なくありませんが、ここで考える舞台とは「法廷」に限りません。
(易者) 占い師は初対面の客のことを全く知りません。なのに星座や生年月日や手相人相といった「怪しげな情報」をもとに「客の人生を左右すること」を「自信満々に」話しています。易者は客の心理を見抜き「客が言って欲しいと願っていること」をズバッと言い当てます。与えられた時間枠で人生を左右する予言を行い、客の多くが将来の行動を変えます。
(芸者) 客は「欲望」を抱いてやってきますが、欲望を全て満たしていたら社会規範を逸脱してします。多くの芸者にとり重要なのは「社会のルールに沿って客の欲望を上手に満たすこと」そして「その対価として客から金をもらい自己の金銭的欲望を満たすこと」です。弁護士は客なしには成り立たちませんが、癒着しすぎたら自己の存在意義を保てません。