三高と三低
北村文他「合コンの社会学」(光文社新書)の記述。
「三高」とはバブル時代の全盛期に流行った言葉で、言うまでもなく「高収入」「高学歴」「高身長」の男性のことを指す。それに対し「三低」とは、女性に対して「低姿勢」、家事などは自分でこなす「低依存」、資格などを身につけている「低リスク」な男性のことを指す。「三低」の男性というのは「三高」の男性に比べて見分けが付きにくい。収入が高いか・学歴が高いか・身長が高いかといったことは会って聞けば直ぐに判るが、女性に対して高圧的でないか・家事をさせようとか思っていないか・将来的なリスク管理がしっかりと出来ているか、といったことまでは、会ってすぐにはわからない。だから、基本的に彼女らにとって表層的な「お見合い」や「お見合いパーティー」はアウトである。
現在の弁護士は三低を求められているように感じられます。依頼者に対する「低姿勢」(依頼者の不合理な悩みや愚痴にも根気よく付き合う心構え)。何でも自分でこなす「低依存」(ワープロ打ちなどを事務員さんに全面依存しない)。得意分野をいくつか身につける「低リスク」(ひとつの仕事しか出来ない弁護士はその種の仕事が消滅したら収入が途絶える)。もっとも三高の弁護士が悪いとは限りません。高収入は裏を返せば沢山の人に信頼を得ていることを意味するのかもしれません。高学歴はハイレベルの事件処理を意味するのかもしれません。目線の高さは法律家としての見識を意味するのかもしれません。逆に三低の弁護士が良いとは限りません。低姿勢は依頼者への迎合を意味するのかもしれません。低依存は何でも自分でしなければならない小心さを意味するのかも知れません。低リスクは専門性の欠如を意味するのかも知れません。 何を良い弁護士というのかは依頼者によって変わります。何が「良い」のかは実際に会って話をしなければ判りません。