5者のコラム 「学者」Vol.33

知識詰め込み型vs思考力重視型?

落合洋司弁護士は自分のブログ「日々是好日」で以下のように述べます。

善か悪かといった形で単純に2分してしまうと「知識詰め込み型」対「思考力重視」ということになってしまいますが、法律の学習というのは、そういった単純に片づけられる問題ではなく必要な知識は詰め込んでも習得する必要がある一方、知識をうまく生かして行く思考力というものも問われる面があるものです。昔からよくある誤解は、必要な知識を習得することから目をそらし思考力の重要さを過度に強調するというものですが、必要な知識を取得しないまま考えを巡らせていても、ろくな考えは浮かんでこないもので、まずは必要な知識を徹底的に頭にたたき込み、そういった作業を行いつつ徐々に思考を深めて行かないと法律の学習というものは進まないものです。そのあたりを、法科大学院の教育が、きちんとわきまえた上で進められているかどうか、しがない弁護士には検証のしようがありませんが「崩れた構想」などと言われている現状ですから、うまく機能しているとは思えません。(9月23日)

私が受けた頃の短答式は条文判例の知識を問うものが多かったため、短答式直前の4月頃、過去問の全ての肢の正誤を確認する作業をやっていました。実務で重要なのは条文や判例の単純な知識です。昔の受験生は短答式の正誤問題に備えるため過去問の肢の正誤を確認する作業を行う中で法律用語の具体的適用例のイメージを頭に定着させていました。論文試験で問われる思考力は条文や判例の知識を繰り返し頭にたたきこんで、その上に形成されるものです。したがって「旧司法試験=知識詰め込み、ロースクール=思考力重視」という2分法は間違いです。短答試験でチェックされた条文判例の知識が吟味されないまま「思考力」ばかり肥大化させた若者は実務に適さないのです。

易者

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