タイムチャージへの疑問
富家孝他「医者が秘密にしておきたい病気の相場」(青春出版社)はこう述べます。
そもそも日本の病院は出来高払い制という仕組みの上に成り立っている。患者に提供した治療措置などの医療行為が多いほど病院の収入が増えるという仕組みだ。典型的な例で言えば腕のいい医者が治療して早く退院すると治療期間が短い分請求できる医療費は少なくなる。一方、患者の回復が遅くて入院が長引くほど医療費は多く請求できる。極論すれば腕の悪い医者にかかった方が医療費が高く付くのだ。国はこうした矛盾を改善するため全国79の大学病院と国立がんセンター中央病院と国立循環器病センターなどを特定機能病院に指定。これまで出来高制だった入院医療費をセット価格の「包括額」と「出来高」に分けた新しい制度を導入した。あくまで入院医療費に関してだが、病院の診断がついて治療法や手術の有無などの一覧表を見れば、あらかじめ1日あたりの医療費が判るというシステムだ。これで過剰になりがちな「出来高の医療」を抑制しようというわけである。(12頁)
依頼者にとっては問題を早く解決する弁護士の方が有り難いはずです。特に解決の迅速性が強く求められる企業法務の場合、時期を過ぎれば意味がないという事態がよく生じます。私はタイムチャージで費用請求したことがありません。タイムチャージ制だと腕のいい弁護士が受任して早く問題解決する場合には(要した時間が短い分)請求できる弁護士費用は少なくなりそうです。逆に弁護士の能力不足により問題解決が長引いた場合は(要した時間が長い分)弁護士費用を多く請求できることになりそうです。判らないのは企業法務を多く受任している東京の巨大法律事務所にタイムチャージ制をとっているところがあることです。そのような法律事務所が上述した「腕の悪い弁護士を依頼した方が費用が高い」という矛盾をどう解決しているのか?興味があります。