会田誠のすすめ
私が通った大学は東京の多摩地区にあり、近くには武蔵野美大・多摩美大・国立音大など芸術系の大学が多数ありました。私はアルバイトを通して芸術系の学生と友達になり、大きな影響を受けました。好きな仕事を選んで勝手に生きたいという願望にとりつかれたのです。日本の現代アート作家に会田誠がいます。氏が1993年に制作した「巨大フジ隊員VSキングギドラ」や1996年に制作した「紐育空爆之図」を初めて目にしたときの衝撃は言葉では表現できません。 その会田氏が芸術系大学への進学を目指す高校生に対して次のように述べています(アートスクールガイド)。
そうですね。僕個人としては美大に行ってよかったなと思いますね。飲んでも酒がまずくなるような議論好きの連中とうじうじしていただけですが。 高校時代までは、本当に回り全体と馴染めなくて生きづらい半生でしたから、それに比べれば天国っていえば天国というような。高校時代までに生きづらさを感じるような、変わり者にはとくにお勧めしますね。それから、僕は今、武蔵野美術大学に教えに行ってますが、美大は最近女子生徒が多いんですね。あんまり女性差別のような発言をするつもりはないんですけど、ちょっと寂しさを感じることもありまして。日本の景気の悪さとか、生活に保障がないような将来を選択する可能性が美大にはあるわけですから、そういう大学に男が行くことを親が禁じたり、本人も現実的に物事を考えてしまったりするんでしょうけれど。
私は弁護士になって良かったと思っています。生きづらいことも多い半生でしたから、それに比べれば天国です。自意識の強い若者にお勧めします。最近の弁護士の苦境を耳にすると「生活の保障がない将来」に対する不安もあるでしょう。でも「誰にも指示されず仕事が出来る魅力」は代え難い。そんな法律家の仕事に魅力を感じる若者に法曹を目指していただきたいと私は願っています。