相談者が弁護士に求めているものは?
酒巻明子「キャバクラ嬢の作法」(総合法令)の記述。
お客様がキャバ嬢に求めている癒しとは何なのでしょうか?簡単に言ってしまえば好みの女の子に「モテたい」「特別扱いされたい」ということ。つまり、お客様は自分の存在を評価してもらいたいんです。キャバクラに来るお客様は自信が無くなっていたり傷ついたりして世の中からいじめられた気分になっている方がすごく多いんです。自分はデキる男だと思っていても社会に出れば自分よりすごい人がたくさんいるものですし、家庭でないがしろにされている人も少なくありません。仕事や家庭の不満を同僚にグチっても「それはお前が悪い」と言われてしまうけど、キャバクラに行けば好みの女の子が話を聞いてくれて、常に自分の味方をしてくれる。そうすると気分がリセットされて、次の日から仕事をがんばれるんです。
相談者は自分の存在を<社会的に>承認してもらいたいのです。法律事務所に来る相談者は自信を喪失しています。傷つけられ世の中からいじめられた気分になっています。自分は正しい(少なくとも悪いことはしていない)のに何時も相手から言い負かされて悲しい感情を抱いている方が大勢います。自己の正当性を主張しようにも、実現手続を知らない方も少なくありません。家庭でないがしろにされている人も少なからず見受けられます。仕事や家庭の不満を同僚にグチっても「それはお前が悪い」と一方的に言われてしまう相談者も少なくありません。法律相談に来るのは、かような心に傷を負った方々です。弁護士は相談者の味方です。もちろん法律は客観性を基礎にしていますから相談者の話が全て実現するわけではありません。相談者に反省すべき点がある場合も当然あります。しかし自分の言い分を弁護士に誠実に聞いて貰い、社会的に表明する機会が与えられるならば、相談者は気分をリセットして次の日からの人生を新しい気持ちで頑張れるのです。