■2022年01月14日(Fri) 芸者 153
 斉藤由多加「指名される技術」(ゴマブックス)に以下の記述があります。
ノウハウとは一見無関係に見える因果関係にパターンを見つけ出すことをいいます。パターン(=規則性)さえ発見してしまえばこっちのものです。偶然を必然に変え確実に結果を得ることが出来る。このやり方を世の中は「科学」と呼んできました。精神論で「運を味方にする」というのは実はそういうことを言うのです。ビギナーのホステスさんたちは安定してノルマや目標を達成するための水商売の第1歩「どうすれば客はより確実に指名してくれるか」「どうすると指名してくれないか」をしっかり研究することから始めます。もしその中に規則性があれば、あとはそれを繰り返せばいいわけです。偶然だったことを少しずつ必然に変えてゆく。これがいわゆるプロになるためにすべきことではないかと思うのです。(59頁)
 若手弁護士は安定して依頼者を獲得するために<水商売>の第1歩として「どうすれば相談者がより確実に委任してくれるか」を考察します。遡って考えれば「どうすればより多くの相談者を集めることができるか」を探求すること、もっと遡って考えれば「どうすればより多くの市民に自分の存在をアピールできるか」を探求することになるのでしょう。昔、弁護士業務における因果関係パターン(規則性)は各弁護士の個人的なノウハウに委ねられていました。しかし、近頃はこれを確実に結果を得ることが出来る企業的なマーケティングとして認識する動きが激しくなっているようです。集客への幻想を抱く弁護士をターゲットにした広告業者・マーケティング業者・ネット業者による「ひよこ食い」現象が広がっています。古い弁護士の考える仕事の因果関係のパターン(=規則性)とは「委任を受けた事件を誠実にこなし、それを繰り返せば結果は自ずからついてくる」というもので口コミに委ねるものだったと言えます。こういう「いい加減な精神論」は過去のものなのでしょうか。
■2022年01月10日(Mon) 易者 153
 ラジオ深夜便「絶望名言」(NHK)に次の記述があります。
 絶望した人が一番よく口にする言葉って「自分の気持ちは誰にもわからない」ってことだと思うんです。絶望って、やっぱりすごく個人的なものなんですね。つまり孤独ですよ。絶望するだけでも辛いのに孤独がもれなくついてくるんです(38頁)。絶望している人への接し方としてはゆっくり側にいてあげて、あまりせかさず、それでもときどきは連絡を取って「立ち直れそうになったら何時でも力を貸すよ」という形で側にいてあげるのが一番いいと思います(41頁)。病気のときとか弱っているときに、どういう仕打ちをされたかっていうのは、これはいつまでもその人の心に残るんですね。日頃いくら優しくしてもらっていても、弱った時に冷たくされればもはや元のような気持ちでは付き合えないですよね(108頁)。
 上記3点は<深く傷ついている依頼者>と接する弁護士が心しておくべきこと。
1「実存的な孤独感」(世界と切り離された自分だけの問題性) 絶望が極限的に個人的なものだということは感覚的に判っているつもりです。それが究極的な孤独感を伴うことも理屈的に判っているつもりです。問題はそれを依頼者(当事者)に感じていただけるだけの<自分の内的な構え>を作れているか否かなのでしょう。
2「黙って傍に居る感覚」(上から目線で語りすぎないこと) 以前、五木寛之氏の言葉を引用したように法律業務で大事なのは<がんばれ>と励ますイメージではなく<黙って>そばに寄り添うイメージなのだろうと思っています。
3「弱ったときに示す態度」(弱さに追い打ちをかけない) 弁護士の仕事は<人が弱っている状態のときに接する仕事>です。それゆえ「弱いときにひどい仕打ちをされた」という感情を依頼者に抱かせないよう弁護士は心を配りましょう。