■2022年05月18日(Wed) 学者 157
 渡邊泉「会計学の誕生」(岩波新書)に以下の記述があります。
 金銭貸借や信用取引に伴う取引も、コインに表と裏があるように、貸し手ないしは売り手と借り手ないしは買い主の両者が存在します。記録の正確性を検証するためにどちらか一方だけの記録ではなく貸し手と借り手の双方の記録の突き合わせが必要になります。この必然の結果として、簿記は借主(借方)と貸主(貸方)の二重記録、したがって複式簿記として歴史の舞台に登場することになります。しかもそれが損益計算と結びつくとき、フローとストック、別の観点からは原因と結果という二面からの計算となります。複式簿記の本質は、この継続記録によるフローの側面からの損益計算と有高計算によるストックの側面からの損益計算の二重計算にあります。複式簿記が複式と呼ばれる最大の要因は、取引を単に借方と貸方と双方に分けて記帳するからではなく、企業損益を費用・収益の変動差額計算と資産・負債・資本の増減比較計算の二面から計算するところにあります。(7頁)
 弁護士が取り扱う民事紛争の多くは「お金」に関するものですから、企業間取引を巡る紛争については取引内容の認識と測定(金の動きに関する記帳技術)に習熟しておく必要があります。何故ならば企業の活動は「複式簿記という言語」を用いて行われているものだからです。これは「他人の活動」を理解する上で重要であるだけでなく企業者としての「自分の活動」を認識する上でも必須です。弁護士職務も(金銭的には)企業活動という側面があります。その内容を複式簿記によって整理し税務申告する義務を負っています。企業活動者としての弁護士は会計の責任者でもあります。「複式簿記の原理」を理解して実践することが肝要です。
■2022年05月12日(Thu) 医者 157
 先崎九段がうつ病から数ヶ月でプロ将棋に復帰できた背景には精神科医である兄の存在が大きかったと感じます。兄上の「必ず治ります」という確信をもったコトバは心強い。先崎学「うつ病九段」(文藝春秋)から引用。「うつ病が未だに心の病気といわれている・うつ病は完全に脳の病気なのに」「うつ病は完全に治る病気なんだ・人間は不思議なことに誰でもうつ病になるけど不思議なことに自然治癒力を誰でも持っている・だから絶対に自殺だけはいけない」「究極的に言えば精神科医というのは患者を自殺させないためだけにいるんだ」。精神科医は「治せない」という現実に直面することが多々あると思います。患者さんが自殺して絶望感を抱くことも珍しくないのでは?とも想像します。「必ず治ります」という兄上のメッセージは現実というよりは職業規範だったのではないか。おそらく多くの精神科医は「治る」という職業規範と「治せない」という冷酷な現実の間で苦闘されているのでしょう。先崎九段は兄上の「必ず治る」という短いけど確信に満ちたメッセージに救われました。現実に即して兄上からクールに「治らないかも?」と言われていたら、先崎さんのこんなに早い回復は見込めなかったのではないでしょうか。
 弁護士も同様です。職業規範と現実の狭間で右往左往させられます。人間は自由平等だという規範と人間は自由平等ではないという現実の狭間で。正義が実現されるべきという規範と実現されない現実の狭間で。多くの弁護士たちは冷酷な現実の前で絶望感を感じたことが多々あると考えます。にもかかわらず、弁護士は絶望感を乗り越えて「自由と正義」を確信を持って説いていかなければならない。何故ならば、それこそが弁護士の存在意義であり守るべき職業規範だからです。
■2022年05月06日(Fri) 5者 157
 フェイスブック上で見つけた「看護の名言」に以下の記述がありました。
        プ ロ               ア マ
   1 人間的成長を求め続ける。      1 現状に甘える。
   2 自信と誇り。           2 愚痴っぽい。
   3 常に明確な目標を指向。      3 目標が漠然としている。
   4 他人の幸せに役立つ喜び。     4 自分が傷つくことは回避。
   5 可能性に挑戦し続ける。      5 経験に生きる。
   6 思いを信じ込むことが出来る。   6 不信が先にある。
   7 自己訓練を習慣化。        7 気まぐれ。
   8 時間を有効に習慣化。       8 時間の観念がない。
   9 成功し続ける。          9 失敗を怖れる。
  10 自己投資を続ける。       10 享楽的資金優先。
  11 使命を持つ。          11 途中で投げ出す。
  12 出来る方法を考える。      12 出来ない言い訳が口に出る。
  13 自分のシナリオを書く。     13 他人のシナリオが気になる。
 私は成長が止まっています。愚痴も多くこぼします。傷つくことは回避したいし、楽しいことにお金を使いたい。出来ない言い訳も口にします。私はアマなのかもしれません。しかし、私はこの仕事に誇りを持っています。依頼者の幸せに貢献したいと思っています。このコラムを1000本続けることを自分の使命だと考えています。そのための時間と投資は欠かしません。それが自分に課したシナリオです。