■2018年04月16日(Mon) ハラスメント研修
 現代社会で「ハラスメント」の意味は重大視されるようになっており、対処如何で法人企業の存在そのものを左右する場合すら見受けられるようになっています。以下に挙げるのは某法人からハラスメントに関する研修を依頼されたときに作成したものです。レジュメだけで研修の実際は判りにくいと思いますが、雰囲気は伝わるかと思いアップします。

第1 言葉の意味
 1 セクシャルハラスメント
   厚労省告示による定義 (職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応に
  より当該労働者がその労働条件に付き不利益を受け、または当該性的な言動により当該
  労働者の職場環境が害されること)
  具体例  性的事実関係を訪ねる・性的な内容の情報を意図的に流布する・性的冗談から
       かい・食事やデートへの執拗な誘い・個人的な性体験を話する等。
   悪質性の高いもの  性的関係の強要・必要なく身体に触る・わいせつ図画を配布掲示・
       強制わいせつ強姦などの犯罪
    *注意  男性から女性へと決まっているわけではない(H議員のT選手への行動)
 2 パワーハラスメント
    厚労省報告書に於ける定義 (同じ職場で働く者に対し職務上の地位や人間関係等の
   職場内の優位性を背景に業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える又は
   職場環境を悪化させる行為)
   具体例  隔離・仲間外し・無視・業務上明らかに不要なことや不可能なことの強制・仕
       事の妨害・過大な要求・合理的理由も無く能力や経験とかけ離れた程度の低い仕
       事を命じること・仕事を与えないこと・私的なことに過度に立ち入ること
    悪質性の高いもの  暴行・傷害・脅迫・名誉毀損・人格を否定する酷い暴言
     * 典型例  T議員の言動
第2 背景となる社会的変化
 1 証拠方法の容易化
           スマホの普及で「録音・録画」が極めて容易になった
 2 社会意識の変化
           セクハラ・パワハラへの寛容性が消滅している
           対応方法を誤れば社会的生命を失うこともある
第3 加害者等の法的責任
 1 加害者個人の責任
 A     刑事責任 悪質性が高いものは身柄拘束(逮捕勾留)・訴追の可能性
 B     民事責任 損害賠償
              *精神疾患(特にうつ病)罹患の有無が争点化されることがある
C      雇用関係上の不利益 懲戒処分
              *最悪の場合は懲戒解雇・退職金との関係に留意
 2 雇用者の責任
A      民事賠償責任       *使用者責任(民法715条)
                       *職場環境配慮義務(民法415条)
B      労働基準法上の責任(労災の対処も含む)
C      行政責任(監督官庁との対応など)
 3 具体例(口頭で説明)
          イ 新人歓迎コンパにおける一気飲み死亡事件
          ロ 単純加害型なのに法人をもセクハラ被告とされた事件
          ハ 退職金不支給危機の強制わいせつ事件
第4 雇用者の対策など
 1 雇用者方針の明確化と周知徹底(本研修会もその1つ)
 2 相談苦情に対して対応するために必要な体制整備
A         相談窓口の設置(周知させることが重要)
B         相談に対する適切な対応(守秘義務は必須)
 3 事件発生後の迅速かつ適切な対応
  A       迅速かつ正確な事実関係の調査(行為者へのヒアリングも含む)
  B       当該事案への適切な措置の実施(懲戒処分・配置転換など)
  C       再発防止に向けての将来措置の検討(公表・研修など)
第5 職場の雰囲気と留意の視点
 1 職場の雰囲気 
          研修の反動により職場の雰囲気が堅くなりすぎるのも問題
          初心忘るべからず(@世阿弥) 対人関係職一般に通じる課題
 2 留意の視点(参考意見)
    A     テキストとサブテキスト・意味情報と感情情報   演劇用語(チェーホフ)
  B       「自分のストレス」を他人(特に弱い人)にぶつけない
           仕事に自分の脳を100%支配されない    もう1人の自分を持つ
    C     自分の言動が他人に与える影響を「想像する力」を滋養する
  D       「向上心」(学び続ける意思)と「好奇心」(新鮮な心を持つ)を維持する

* 最後の「第5」は非法律家的観点(社会学的な認識)で述べたものです。